第1章 瞬く星空の下で
高校三年生の冬。
授業の合間に
また変わりもなく、私は雅留と話をしていた。
会話の内容は、ただのゲーム。
ただのゲームだけど、それがきっかけで私は雅留と仲良くなった。
「それでね、このキャラクターが強くて…!」
「あー、でも、こっち先に育てたほうが良いぜ!」
「そうなんだ!」
いつも、わからないことを教えてくれる。
だから、いろいろなことを聞いていくうちに、
たくさん遊ぶうちに、
私はこの人に惹かれていた。
合わせてくれる歩幅。
笑った時の細い目。
低音の声。
私よりもはるかに高い身長。
誰にでも優しいけど、口が悪くて人間味のあるところ。
全部、好き。
だけど、嫌いなところもある。
「雅留くん!聖美ちゃん!」
「あ、香奈ちゃん。どうしたの?」
それ。
それきらい。
香奈さんに見せる微笑み。
それと、香奈さん以外の誰にも向けることのない、
高くて、優しくて、甘い、そんな声。
こんなこと、わかるまで好きになっちゃったんだな。
「あのね、今日流星群見れるんだって。
それでね…じゃじゃーん!」
私たちに一つのカギを見せる香奈さん。
見たことのない鍵には「屋上」と書いてあるタグがついていた。
「会長と仲いいから、こっそり借りてもらっちゃった!
みんなで見に行こう?」
「いいね!聖美もいくでしょ?」
「ん、もちろん。」
なぜ雅留の誘いに断れるだろうか。
香奈さんがいようと、
私は雅留の隣にいたい。
ダメだってわかっていても、少しでいいから近くにいたい。
放課後、私と雅留、香奈さんと生徒会メンバーが集まり、屋上へといった。
日が明るいうちはただ屋上で遊んでいた。
走り回ったり、ちょっと梯子を上ってみたり、
みんなで寝転がってみたり。
あー。青春してるって感じ。
そんなこんなしているうちに、いつの間にかあたりは暗くて、すごく寒くて。
みんなそれぞれマフラー巻いたりして暖かい恰好をしてた。
「ああああ!流れ星だよ!!!!」
シュンと一筋流れた星。
その星に無駄に高いテンションで香奈さんが言う。
あーかわいいな。あんな顔で笑われたら、そりゃ惚れるよね。