第4章 【4th time】雪の欠片(及川徹)
私がその場から去ろうとすると急に呼び止められた。
「君、今の聞いてたよね?」
『いや…あの、はい。』
私が頷くと頭をポリポリと掻きながらカッコ悪いところ見られちゃったなと弱々しく笑っていた。
その目にはうっすらと涙が浮かんでいて。
考えるより先に身体が勝手に動いていた。
そっとハンカチを取り出して涙を拭ってあげれば、まるで小さい子をあやすように頭を撫でていた。
『あ…ごめんなさい。初対面なのに。』
驚いたような顔をする相手に慌てて謝った。
「びっくりしたけど、謝ることなんてないよ」
そう言ってニコリと微笑む貴女を見ればつられてこちらも笑う。