第4章 【4th time】雪の欠片(及川徹)
雪。
冬に舞い落ちる白くて冷たいそれは見る度に私を切ない気持ちにさせる。
手のひらに乗せるとすぐに溶けて消えてしまう儚い様子はまるで恋のよう。
今まで素敵な恋愛なんてしてこなかった。
付き合う男の人はみんな良い風に寄ってくるけど、本気で私の向き合ってくれる人なんて居ない。
昨年の12月に前の彼氏に振られてから、恋愛というものから遠ざかっていた。
…恋ってなんだろう?
もう長い間離れていたせいか"人を好きになる"気持ちさえわからなくなっていた。
このまま素敵な出会いもなしに一生を終えてしまうのだろうか。
「私、もうあなたとは付き合えない。ごめんなさい」
「……………。」
…ちょうどカップルの別れの場面に出くわしてしまった。
なんてついてないんだろう、私。
滅入っていた気持ちがますます深くなる。
ちらりと取り残された男の人の方を見ると、あちらも気まずそうに苦笑いしながらこちらを見ていた。
目が合ってしまった。早くこの場から去ってしまおう。
「…ちょっと待って!」