第6章 奇襲
【 菅原side 】
「へぇ……面白ぇなぁ………お前ら。」
日向と影山の変人速攻に手を出すこともなく、ただ見ていた悠。
田中と日向の二人がスパイクフォームに入っていたにも関わらず、迷うことなく速攻が来る、と分かっていたらしく、目の前の悠はあれを間近で見たというのに驚きすら抱いていない。
「……一度コートの中から見てみたかったんだ。ありがとう。…影山とチビッ子くん。」
反対コートの影山の顔がピクリと反応する。
「あの………今の止める気なかったっすよね…?」
「ん?ないよ。…だって見たかったからね。………まあ、そう、カッカするなって。お礼に、スゲェの見せてやっから。」
ニヤリと笑う悠の姿に影山の眉間の皺が濃くなっていく。
………つか、悠って挑発すんの上手いよな…。
皆、見事に乗せられてるし。
「さ、早くサーブ打ってよ。……体鈍っちゃうし。」
影山のことなど相手にしないという態度の悠に田中がイライラを露にしていた。
「カッケェけど、メッチャムカつく野郎だぜ……烏野ナメんな?あぁん!?」
「こらっ!田中!!イチイチ絡むな!早くポジション戻れ!」
大地に怒られ、渋々ポジションに戻る田中。
今の烏野の前衛は、
影山、月島、日向
の3人。
影山と月島はウチの中でもブロックも割りとハイレベルなメンバーだ。
その2人が悠相手にどの程度やれるかを密かに楽しみにしていた俺。
「___孝支。」
突然呼ばれた自分の名前に、ビクリと跳ねる体。
「なっ何?」
「トス、よろしく。」
「りょーかいっ!!高めで速いやつね!」
ニカッと笑って見せると、悠も笑顔を返してくれて。
あー……なんか、コイツの笑顔って男の俺から見ても、綺麗だな、なんて思ってしまう、バカな俺。
しょーがないじゃん?!
ずっとTVの向こうにいた憧れの選手なんだからさっ!!(←誰もツッコんでない)
___I want to help.