第6章 奇襲
つい先程までピリピリとした緊張感が漂っていたコート内の空気は一変し、烏野サイドでは程よく解けた緊張感により、集中力が増しているのを感じた。
くく……
いい顔いい顔。
圧倒されても食らい付いてくる姿なんて堪んないよな。
だいぶ時間が経ってから捲られた得点板には"1"の数字。
久々に青城と選抜以外のメンバーとの試合形式なゲームの中での俺の決めた得点。
まだまだ足んねぇなぁ。
次はスパイク決めっからね。
サーブ以上にビビらせちゃうけど、
まぁ、頑張って足掻いてくれよな?
コートの中心に立ち、レシーブの構えをとる。
重心は下げすぎず、どの角度からのサーブでも対応出来るよう集中力を高めていく。
ピッ
笛の音とともに反対コートのエンドラインの外に立つ澤村が、サーブの構えに入る。
____瞬間、重なった視線。
ドッ
澤村の手から放たれたボールがこちらのコートへと侵入し、勢いよく俺の構えた先へとぶつかる。
…………トッ
先程までの勢いは消され、ふわりと上がるボール。
「孝支ーっ打たねぇからレシーブで戻して。」
「へっ!?わ、分かったっ!」
当然のごとくトスの構えをとっていた菅原が一瞬驚いたような声を上げるも、すぐに俺の指示通りに、菅原のレシーブによりボールは再び俺の元へと返ってくる。
「じゃー、ボール戻すから、好きなように攻めてこいよ。」
___Return.