第5章 好敵手
【 烏野高校side 】
「すみませーん。青葉城西の銀鏡ですけど………道場破りにきました。」
いつものように練習をしていた烏野高校男子バレー部のメンバーたちは、突如聞こえてきた声の方へと一斉に顔を向けた。
体育館の入り口には本来そこにいるはずのない男の姿。
「なっ銀鏡…………!?」
驚きのあまり思考が止まってしまったメンバーたちの中、その均衡を破るように放たれた菅原の言葉。
「なっ、なんでお前がここに___?」
目を見開いたまま悠を見つめる菅原たちに、その視線の先にいる悠の顔がふわりと笑顔になる。
「あぁ、突然すぎて驚かせちゃったね?………じゃ、改めて、道場破りにきました。」
「ど、道場破りって………ってことは、他にも青城の奴らも___?」
「いや。俺一人。…………せっかく来たんだからさ、相手してよ。」
「は?!あんた何言ってんすか!?バレーは6人でやるもんだろ!?あんた一人でどーすんだよっ!!」
「ちょっ!田中っ待て!」
剣幕な顔つきで喧嘩腰に迫る田中を縁下が抑える。
その横でなおも驚きを残したままの表情で悠を見つめていた澤村がゆっくりと口を開く。
「……田中の言うことは最もだ。どういうつもりなんだ。………銀鏡。」
「そう。その通り。本来は6人でやるのが正式なルールだが、今回はあくまで青城は関係なく俺一人と戦ってほしいって話。………でも、さすがの俺も一人三役は難しいからさ。セッターだけ貸してよ。いるでしょ?影山以外にも。」
"セッターを貸してほしい"という言葉にビクリと跳ねる菅原の体。
(………これって俺のことだ………。どうしよう………微妙なのはわかってんだけど………日本代表の最強エースに………トス上げてみてぇ………)
動揺した気持ちのまま澤村へ視線を向けると、真っ直ぐな瞳とぶつかり、そのまま澤村の顔が縦に振られた。
「___っ!!」
"やっていい"
菅原の思いが伝わったのか澤村からの答えは、彼の思いに答えるものだった。
___Shocking return.