第5章 好敵手
そして、その日の部活の後、事件は起きてしまった。
及川、岩泉、俺の3人は家に帰るべく校門へと向かっていた。
「あ、あのっ銀鏡先輩っ!」
名前を呼ばれた方へと振り返ると、後輩らしき女子生徒が2人。
その内1人の子は、着ていたベストを握りしめ、顔を真っ赤にして立っていて。
これは……お呼びだしってやつか……
「す、少しだけお時間いただけないでしょうか……?」
彼女の震える必死な声に紳士モードの入った俺には"yes"の二つ返事しかないわけだが……
ちらりと及川たちに視線を向けると、及川はニヤニヤと笑いながら手を振り、岩泉は呆れ顔。
「待ってるからご自由に~☆」
「ん。わりぃな。……じゃ、行こうか。」
連れられてきた校舎裏では、顔を赤らめた女の子が一生懸命俺への愛を訴えていた。
気持ちは嬉しいし、女の子に格好いいと言われるのは男として有り難い限りだが、なぜ、話したこともないような男にこんなにも熱い想いを抱けるのか不思議で堪らない。
だって俺、今は紳士モード入ってっけど、本当は野獣かもしんないよ?
もしかしたら超冷たい男かもしれないよ?(←違うけどね!)
分かんないじゃん?普段とかバレーやってるときだけじゃさ。
「………ごめん。気持ちはすげぇ嬉しい。……でも、君は俺のことを知らないよね?どんな男かわからないよ?もしかしたら君を傷つける様な奴かもしれない。見た目だけの俺なんかよりきっと君を大切にしてくれる男がいるよ。…勇気を出して告ってくれてありがとう。」
目の前の女の子は目に涙を一杯にためて、それでも笑顔でお礼を言い、去っていった。
首の後ろを掻きながらその場でため息を漏らす。
瞬間、
ドン、と鈍い衝撃が背中へと走り、
同時に感じる俺のよく知る匂いと熱。
「………よかった。……俺の悠はあんな子には渡せないから。」
やけに真剣な声色で、冗談か本気かわかんないような及川の言葉。
……なんだそりゃ。
俺はいつからてめぇのもんになったんだ?
つか、こいつのこのノリって何かの病気なのかな?
誰かいい病院知りませんか!?←
___Confessions.