第2章 凱旋
【岩泉 side】
始業式が終わり、進級した俺は高校3年生になりました。
高校最後の1年間、出来ることなら良い様に過ごしたい。
…が、
目の前にいる男のせいで、その期待は淡く散っていく。
「ふあ~~~~ぁ…っ でっ!!もう何~?」
俺の前の席で大きなあくびを漏らしていたバカ川こと及川の頭を叩くと、涙目にしてこちらを文句言いたげに睨んできた。
「うっせーよ。ただでさえ、うぜぇのにあくび一つも静かにできねえのか?」
「えっ何それ!俺、そこにすら自由ないのっ!?岩ちゃんっひでぇ~~~~!!」
おいおいと泣きまねをしだすバカg…いや、及川。
しまったと気づいた頃には大騒ぎ。
もう宥めるのも怒んのもめんどくせぇ。よし、放っとこう。うん、それが正しい判断だろう。
___ガラっ
扉を開ける音とともに担任の松本先生が教室に入ってくる。
「おーし、席つけ~!HR始めんぞー。…はい、まずは転校生を紹介する。…銀鏡ー入れー!」
高校3年のこんな時期に来る転校生ってなんだそら。
…あ?
今”銀鏡”っつった?
いや、まさか____________
入り口のドアから現れた長身の男。
「「「「「「きゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁvVvVvVvV!!!!」」」」」」
一斉にあがる女子どもの黄色い声。
そんなの気にしてねえって感じで教団の横にたったソイツ。
ガタン____
教室に響く無機物が倒れる音。
それは俺の目の前のことで、
呆然と立ち上がった及川。
「……………… 悠?」
____meet again.