第12章 合同合宿
【 梟谷side 】
ここまで好調に勝ち続けていた梟谷が迎えた第4試合の相手は、今回この合宿に初参加した青葉城西というチームだ。
青城は今回のインターハイ宮城県地区予選で全国でも有名なウシワカ率いる白鳥沢学園にストレート勝ちしたという強豪。だが、全国大会への出場は初めてのチームであるため前情報はない。
その上、何故かそこにU-19選抜の大エースである"銀鏡悠"が所属しているということが分かり、とんでもなく格上感漂う印象を抱く。
そして、極めつけに今までベンチにすら居なかった銀鏡がうち(梟谷)とのゲームのタイミングでまさかのメンバー入りをしていた。
「………なぁ、あれどうよ。」
「や、ちょ、いつもと違いすぎて、何かもう……突っ込んでいいのかどうか」
「あれって赤葦だよね?あの何やっても無気力な赤葦だよね!?」
ヒソヒソと話す木葉、猿杙、小見の3人の視線の先。
そわそわと落ち着きを無くした赤葦がネットの向こうを見つめている。
そのキラキラと期待に満ち溢れた瞳と緩んだ口許は、日頃見ることはまず無いであろう。
「ヘイヘイヘーイ!赤葦ィー!銀鏡より俺のが凄いって見せつけてやるぜっ」
こちらもテンション上昇中の木兎が果敢にも赤葦へといつもの調子で絡んでいくが、予想通りに赤葦は酷く面倒臭そうな態度を全面に出していた。
「……いや、木兎さんじゃ無理ですよ。銀鏡さん、U-19で世界1と言われてる選手ですから。格が違う。」
「んなっ!?お前、完全に銀鏡の肩を持ってないか!敵だぞ!?」
ギャンギャンと怒る木兎に盛大なため息をついた赤葦がいつもの無表情に戻り、ゆっくりと口を開いた。
「銀鏡さんは俺の憧れの選手ですから肩持つのは当たり前じゃないですか。敵とか関係ないですし。」
「何ー!?ちょっと待てあかあ__」
さぞ当たり前と言った調子で放たれた言葉に対し、木兎が反論しようとした時__
__ピリ
「「「「「___!?」」」」」
突如感じたとてつもない威圧感は梟谷の選手たちに一瞬にして緊張感を高まらせた。
その原因を作った男がネットの向こうからこちらを見ている。
"銀鏡悠"
狩りに餓えた猛獣のようにギラギラと鋭く光る眼は、射ぬかれたら最後、食いつくされる様を覚悟させられた。
__Transformation.