第3章 帝王
【 岩泉 side 】
「お、いよいよ、やるみたいだぜ。」
目の前のコートの中では、緊張した面持ちの渡と、及川が悠の一挙一動を意識している。
すげー緊張感………
コートん中だけじゃなく、こっちまで飲み込まれてるよ。
一応俺も、青葉城西でエースアタッカーを任されてる身なんだよ。
悠、お前の本気、見せてみやがれ。
「あの位置……バックアタックの位置くらいまで下がってんな。」
食い入るようにコートを見つめる花巻。
ちらりとその顔を覗き見ると緊張の色が皆間みえた。
「ま、その方が高く跳べるからじゃねぇ?つか、スーパーエースだったら、バックアタックも普通だろ。」
「"スーパーエース"ってポジションは、常に攻撃に参加することから、バックアタックの能力が重視される。
だから、必然的に強大な跳躍力とそれを続け様に、
跳び続けるだけのスタミナも必要となるわけだ。」
コーチも期待十分って感じだな。
ま、俺も代表レベルのアイツのスパイク、すげー興味あるけど。
「……でも、それ、すげー大変っすよね。」
「ま、花巻は無理だろーな。」
「だな。」
____あ、
トスが上がった。
ギュッ
と音が響き、跳ね上がった体は綺麗なしなりを見せていた。
同時に振り上げられていた左手は物凄いスピードで降り下ろされ、手首のスナップに関しては全く見えなかった。
_____あ?何だそれ。
ボールが幻影かってくらい、一瞬でネットを越え、対向する渡の腕へと吸い込まれていく。
ズダンっ!!
と派手な音がなったと思ったら、驚く声とともに渡と松川、金田一の体が受けた反動で後ろに倒れこみ、仲良く3人で尻をついていた。
あれ?ボールどこいった?
………あそこか。
2階の見学スペースの柵の中に入ってやがる。
___Revealed force.