第8章 開幕
思い詰めたように苦渋の表情を見せていた及川を余所に、入畑の口からは控えの選手の名を挙げていた。
「____以上だ。…………それと、わが校は知っての通りシード枠であるため、1回戦は免除され、2回戦からの参戦となるが…………2回戦のみ、銀鏡ではなく、国見がスタメンに入る。」
「____はっ!?」
入畑の言葉に思わず声を漏らしてしまった俺は、想定外の出来事に目を見開き唖然としていると、伸びてきた岩泉の手が、俺の頭をぐしゃぐしゃと撫でる。
「………まぁ、焦んなって。先は長ぇんだ。……お楽しみは、取っといた方がテンションあがんだろ?」
ニィと笑いかけてくる岩泉に、そうだな、と返事を返していると、緊張の色を浮かべた国見の目と視線が重なった。
「………英、俺の分まで頼むぜ?」
真っ直ぐに自分を見つめてくる瞳を見据え、伝えた想いが届いたのか大きく頷く国見。
「_____っはいっ!」
何だかんだ練習中もあまりがむしゃらな様子を見せない奴だけど、心の中にはちゃんと熱があんだって、俺は知ってたんよ。
だから、任せるよ。
お前に。
「監督っ!3回戦からはフルで暴れさせてもらいますよ!」
闘志をたぎらせ伝えると、入畑は、ハハッと軽快に笑い、もちろんだ、と言った。
我慢させられんだ。
その分溜まったフラストレーションは、発散させてもらいますからね!
じゃないと俺、スパイク欠乏症で死んじゃうし←
「………悠っ!そこは及川さんに任せて♪ちゃ~んと悠が気持ちよく飛べるように俺がトスを上げてあげるよ☆」
横から俺の肩にのし掛かってきた及川が、まるで俺の心を読んだかのようなタイミングで現れたことに、内心驚いた俺。
「………いいトス、あげろよ?徹。」
「もっちろん♪」
その後も入畑によるインターハイ___全国への意気込みが熱く語られ、それに応えるかのように選手たちの意気も上がっていく。
____Conceited feeling.