第6章 奇襲
ニカっと笑い合い、再びポジションへと戻る二人。
スゥ___
深く息を吸い込み、肺に酸素を送り込む。
肺から取り込まれた酸素は、血液に混ざり全身へと巡る。
高まっていく集中力_____
俺の体が、
この、血の巡る掌が
全力を込めたスパイクを打ちたいと
叫んでいる。
見据えた先の反対コートでは、俺の空気が変わったのを感じ取ったのか、ピリリと緊張感が漂っている。
さぁ、
楽しいショーはこれでおしまい。
最後には素晴らしいフィナーレを飾ってみせましょう。
自然と上がる口許。
「……ねぇ、最後くらい1発で決めちゃってもいいよね?………………スパイク。」
ネットの向こう側にいる澤村が挑戦的な笑みを浮かべ、頷く。
「…………やっと、見せてくれんだな。お前の…………本気を。」
深く、頷き
真っ直ぐに前を見据える。
「………………あぁ。生半可な気持ちで触んじゃねぇぞ?………怪我、するからね。」
______Tension.