第6章 奇襲

反対コートでは、澤村からのボールが影山へと渡り、それと同時に走り出す坊主頭くんとチビッ子。






一瞬、チビッ子が放つ殺気にも似た存在感に、影山がピクリと反応した。






＿＿＿＿＿＿来る








次に来るのは間違いなく例の移動攻撃(ワイドブロー)＿＿＿





そう確信した俺は、床を蹴り、チビッ子が飛び上がる先へと足を運ぶ。







キュキュ






俺の予想通りに跳ね上がるオレンジの頭。






……来た来た。

いくよ。



チビッ子。








影山の手から放たれたボールがチビッ子のしなる腕の先へと向かう。







ギュ







深く踏み込み床を蹴ると、跳ね上がっていく俺の体。


ブロックすべくネット前方へと伸ばした腕に力を込める。







バシンッ






神業と言えるほど精密なタイミングで届けられたボールはチビッ子の掌に当たり勢いをつける。






ガ ッ






＿＿＿＿＿ブロックを決めた瞬間、



見開かれた茶色の瞳と視線がぶつかる。








腕に当たったボールはそれでもなお、前へ飛ぼうと俺の腕を圧迫してくる。



その強い勢いを下方へと腕と掌で抑え込むと、軌道修正され反対コートへと落ちたボール。








バンッ






「＿＿＿っしゃあ！孝支～。俺のドシャット、どーよ？」




見事に決まったキルブロックに、思わずガッツポーズを取り、隣にいる菅原へと笑顔を向ける。







………あれ？


孝支さん、超唖然としてんですけど……



まぁしょうがないか
俺、ブロックやんないって言ったもんね。

ごめんごめん。







コートの反対側では呆然と立ち尽くす烏野メンバー。







わぁ……！

皆、フリーズしたまま動かないんだけど！？


だ、大丈夫？何か……ごめんね？







「＿＿＿いや、次は最後の1点だからなぁ……やっぱり、気持ちよくスパイク決めて終わらしたいからさ。………ごめんね？チビッ子くん。それは、公式戦でうちのメンバーが相手するか＿＿＿＿っぉわっ！？」






澤村やらチビッ子やらと話をしていると、突然掴まれた肩。

振り返ると目を輝かせて、何とも言えぬ表情の菅原の顔。





＿＿＿Excitement.