第3章 幼馴染と片思い
「めぐ?」
この優しい声で他の子の名前を呼ぶの?
「めぐ…?」
優しい声の呼びかけにやっと私は我にかえる。
「あ…ご、ごめん。えっと、何?」
「大丈夫か?体調悪い?」
私を見つめる心配そうな瞳。
「う、ううん!!全然!!!超元気!!!!」
落ち込んだ気持ちと見つめられた緊張とでごちゃごちゃになっていた私の返事は盛大に道路に響いた。
あぁ〜…やっちゃったよ……。
「アッハッハッハッ!!でっけー声っ!ハハッ」
そんな私を見てお腹を抱えん勢いで笑う春樹。
「な、何もそんなに笑うことないじゃん!!」
「アハハッ、ほんとお前っておもしろいよな。小さいときから一緒にいるけど全然飽きねぇ(笑)…変な奴」
「それって褒められてない気が…」
「褒めてる褒めてる!…てか無理すんなよ。悩み事あったら聞くし」
そう言ってまたあの心配そうな目。
「大丈夫だよ〜!」
言えるわけないじゃん。
春樹に彼女が出来たらどうしよう…なんて。
「よし!んじゃ、学校まで競争すっか!」
「は?!何で?!意味わかんない!!」
「体動かせば嫌な気分なんて吹っ飛ぶって!はい、よーい、スタート!!」
そう言って走り出す春樹。
ほんと無茶苦茶。
でも私は、無茶苦茶で…優しい春樹が大好きだ。
「ちょっと待ってよ!!」
まだ想いをを打ち明ける勇気はないけれど、いつかちゃんと伝えよう。
もしこの関係が崩れることになっても…
そう言えるぐらい強くなろう。
そんな想いを胸に私は少しだけ小さくなった春樹の背中を追いかけた。
幼馴染と片思いーfin.