第12章 【淡い夢】
「犯罪者になるつもりか…」
「私は…、呪術師であるアルスト様に仕えていた時点で、在任ですから、悪しからず…」
呪術を扱う者は、どんな理由があろうとも犯罪者だ。
魔法と何ら変わりないのに、人の心を惑わす禁術として、禁じられていた。
関わった者は、即刻、処刑される決まりだ。
その上、国を滅ぼした者など、大逆罪。
すべての国に指名手配され、逃亡生活を余儀なくされる。
「私のような咎人を…受け入れていただき、ありがとうございました」
「…シェリル――――」
「mujely」
―さようなら―
サラクの言葉でシンドバッド王の言葉を遮り、影に身を落とす。
闇に沈んでいく私に、彼は必死に手を伸ばすけれど、掠って掴めなかった。
暗闇から見える、シンの後悔に満ちている表情を、涙で歪んしている目に焼き付ける。
「werikal」
-ありがとう-
「…ジャーファル、ジャーファル…っ」
心から大切な人。
愛してた、ううん…これからもずっと愛してる。
フッと脳裏に浮かんだ詩を、紡ぎ、声に出す。
「Shindoria…andutw,xisit,…quenjy」
―シンドリアでの…過去を、感情を、…殺せ―
私の中にいた、アリスからもらった『詩』を歌い、自分の記憶を封じ込めた。