第10章 【奪われた幸せ】
「ヤムライハ…、シェリルどうしちまったんだ!?」
「わからない…。シン」
ヤムライハが困惑の眼差しをシャルルカンに向けている中、俺は彼女が呟いた言葉にひっかかっていた。
『ワタシは「チェシャ猫」…』
(歌で彼女の名乗っていた名前……)
「チェシャ猫か…」
「シン、それは『アリスダンジョン』の登場人物じゃないかと思います」
ヤムライハは語り出す。
* * * *
昔聞いた話ですが、4番目に造られたダンジョン…あれはマギが造り出したものではなかったのです。
あれは『アリス』という青年が造り出したもの。
そのダンジョンには彼自身の魂を分け与えて生まれた従者たちが多数いました。
その中でも、アリスに触れることが許され、特に愛されたのが『チェシャ猫』。