第6章 【かけられた呪い】
「主には、黙ってて下さい」
「何故──」
「これは私の問題ですッ、国の政務官であるジャーファルさんに、これ以上心配させたくない!!」
『お前のルフは悲しみの色を宿しているな』
首を振り、アルスト師の言葉を掻き消すように部屋を出た。
(私はシェリル。シンドリアの政務官、ジャーファルの従者だ。こんなことで怯まないッ!!)
部屋に戻ると、ジャーファルさんは書類に埋もれていた。
気絶している彼を書類の山から引きずり出し、影でソファに横に寝かせる。
「…ジャーファル…」
失礼だと思いながらも、彼を呼び捨てで呼べば、気持ちが楽になった。
さらさらな銀髪を優しく掴み、それを唇に運ぶ。
(甘い、…香り)
「主の寝込みを襲うなんて、なんて従者でしょう…」
「……っ!!ジャーファルさ…」
「お仕置き……、ですかね」
ソファから起き上がり、私の手を引いてベッドに投げ飛ばされた。