第13章 【影】
ジャーファルside
* * * *
「ジャーファルお兄さん、いったい何を見てるんだい?」
幼い少年のマギ、アラジンに聞かれ、写真立てを手にする。
そこに写っているのは、笑顔の私と、恥ずかしそうにしながらも、微笑みを浮かべる…愛しい彼女。
引き出しから、彼女の金属器を取り出し、眺める。
くす…、と、笑ってしまった。
「私が生涯、愛すると誓った人ですよ」
「わぁー、…きれいな人だね!!」
「ええ。…私が逝くのを、独りで待ってるんです」
その時まで、私はこの国を、我が王を護っていく。
あなたに、叱られないように、しっかりと、自分の責務を果たし続ける。
(シェリル…、)
──────愛しています。
写真中の彼女にキスを落として、
「誰よりも、ね」
そう、呟いた。
窓から入ってきた風に、言葉はかき消されてしまったのか、アラジンは、きょとん、としていた。