第20章 2人の夜
レストランの2階の奥の部屋に案内された。
個室で、正面がガラス張りになってて、カウンターが付いてる。大きなソファが1つ置いてある。
いわゆるカップル席?
夜景がスゴくキレイで、さっき連れてってもらった公園とはまた違った感じで、泣きそうになった。
太輔くんが私の顔を覗きこんで、笑ってる。
二人の上着をかけて、ソファに座ると、
太:「コース、頼んだから、ゆっくり食べよう」
と言って、また手を繋いでくれた。
淳子:「太輔くん…もしかして…これってデート??」
太:「あはは。やっと気付いてくれた?」
太:「普通にデートしてって言っても、イヤって言うでしょ?」
淳子:「ありがとう♪嬉しい♪」
私は素直に喜んだ。
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食事をしながらいろんな話をした。
親兄弟の事、学生時代の事、好きな色、好きな物、好きな事…
彼女は、よく話した。たぶん、話すのが好きな人なんだ。色んな表情をしながら話す彼女は、今まで出逢ったどんな人よりも素敵だった。
可愛いとか、キレイとかじゃなく…
素敵な人生を歩んで来たんだと思った。
あっという間に、店の閉店時間が来た。
彼女がお手洗いに行ってる間に会計を済ませて店の入り口で待つ。
レジの前でキョロキョロ俺を探してる。
手を上げると気が付いて、笑顔で走って来た。
淳子:「お会計は?」
カバンの中から財布を出そうとしてる。
太:「いいよ!出させて!」
淳子:「イヤ、でも、うちのほ」
人差し指を彼女の唇に押し当てた。
また年上とか言おうとしてる。
ちょっと怒った顔で彼女を見ると、シュンとして、カバンから財布を出すのをやめてくれた。
淳子:「ごめんね。ありがとう♪」
そう言って、笑ってくれた。
太:「ん♪」
また、手を差し出すと、彼女は、迷う事なく重ねてくれた。
何も話さずただ、繋いだ手のぬくもりを感じながら、車まで歩いた。