第20章 2人の夜
太:「全然大丈夫だよ。可愛い♪」
淳子:「可愛い歳ではないんやけどなぁ…」
太:「あはは。気にしすぎだよ!」
淳子:「あきら、一緒じゃないけど、行って大丈夫かな?お泊まり保育なん知ってたん?言うたっけ?」
太:「うん。前にね♪」
助手席のドアを開けると、「お邪魔します」と頭を下げてから乗り込んだ彼女。
ドアを閉めてあげたら、嬉しそうにニッコリ微笑んだ。
太:「では、出発します」
そう言って車を走らせた。
淳子:「こんな時間に外出るん久しぶり~。東京の夜初めてやなぁ…キレ~」
キラキラ光る街並みを見ながら、呟いてる。
1時間ほど、車を走らせたところにライトアップのキレイな場所がある。
太:「ね、ちょっと目瞑ってて!良いって言うまで開けちゃダメだよ!」
片手を彼女の目に当てて、目隠しする。
近くで見せてあげたいけど、少し離れた方が俺はキレイだと思ったので、車を止めた。
彼女は不思議そうに首をかしげた。
太:「よし、良いよ♪」
目に当ててた手を離すと、彼女が目を開けた。
淳子:「わぁ!キレイ!すごい!太輔くん!すごい!」
はしゃいで喜ぶ姿が可愛いかった。
しばらくして、彼女は落ち着きを取り戻して、静かに言った。
淳子:「アレ?そいや、木村さんとこは?キレイすぎて、忘れてた!時間とか大丈夫?」
まだ気付いてない彼女がおかしくて、
太:「大丈夫だよ♪気に入った?」
淳子:「うん!すごい感動した!ありがとう♪」
笑顔でそう言うと、また外を見てる。
太:「ねぇ、手繋いで良い?」
彼女の前に手を差し出すと、静かに重ねてくれた。嬉しくて、ギュッと握ると照れたように彼女が笑った。
太:「オレ、お腹空いた。なんか食べよ?」
手を繋いだまま、レストランへ車を走らせる。
太:「予約した藤ヶ谷です」
レストランへ入ると淳子さんがキョロキョロしてる。
太:「どした?」
淳子:「見られてないかな?大丈夫かな…」
心配性の淳子さん。泣きそうな顔してる。
太:「大丈夫だよ。行こ♪」