第20章 2人の夜
あっという間に、今年のクリスマスが近付いて来た。
俺には計画があった。
お泊まり保育…
クリスマスイブの夜、幼稚園にみんなで泊まって、サンタさんからプレゼントをもらうらしい。
この日に淳子さんをデートに連れ出す!
普通に誘っても来てくれないだろうから、適当に理由をつけて、誘い出す。
色々、プランを練っている。
彼女の喜ぶ顔が早く見たい…
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淳子:「ほな、先生の言う事、ちゃんと聞いて楽しんで来てな♪」
あきらが幼稚園のお泊まり保育で、一晩初めて、私から離れる。
一人で眠れるのか、心配で心配で手を離したくなかったけど、当の本人は大丈夫らしく、
あ:「うん!じゃぁね~!あ!こうきくぅん!」と言って、お友達のところへ行ってしまった…
久しぶりの一人の夜。
クリスマスイブに一人が久しぶりって、ある意味幸せだなぁ…
そんな事を思いながらうちに帰ると、忘れて行ったスマホが光ってる。
見ると、太輔くんからで、
< 太輔→淳子 >
今晩、確かあきらくん居ないよね?18時に向かえに行くから、ちょっとおめかししてて下さい♪木村さんにクリスマスパーティーに呼ばれました。一緒に行って下さい♪
単なる飲み会だと思うので、あまり気合いを入れすぎないように…
おめかし!?気合いの入れすぎってどの辺りまで?芸能界の人達とは差があると思います…
どうしたら良いのか、分からないまま、時間だけが過ぎてしまい、自分の中のややマシなおめかしをして、鏡を見ていたらlineが鳴った。
ピロリン♪
< 太輔→淳子 >
下に居ます
ドキドキしながら、駐車場に行くと太輔くんが車から出て来た。
ちょっとびっくりした顔をした。
これは、気合い入れすぎ!?イヤ、逆?足りない?
そう思うと恥ずかしくて帰りたくなって、引き返そうと太輔くんに背を向けると、近付いて来る足音。
恐る恐る振り返ると、目の前には笑顔の太輔くん。
太:「今晩は。どこ行くの?忘れ物?」
淳子:「イヤ、えっと…やっぱり着替えて来ようかと…」
太:「えっ!?なんで!?可愛いのに!!」
淳子:「気合い入りすぎてない?足りてなくない?」
太輔くんがふっと笑って、手を取ってくれた。