第18章 確認
太:「週刊誌の事なんだけどさ…」
彼女が飲み物をふ~ふ~しながら、俺をチラッと見た。
太:「アレ、違うんだ。あの人とはなんにもない。勝手に週刊誌が書いた作り話なんだ…」
淳子:「…木村さんも、デタラメって言うてたけど…」
太:「木村さん?」
淳子:「うん。さっきの収録の休憩の時に言うてた…彼女じゃないん?」
太:「俺、今、好きな人が居るから他には興味ないんだ」
入れてくれた甘い飲み物を一口飲んだ。
彼女も両手で持ったマグカップを口にした。
太:「淳子さんには好きな人居ないの?」
一瞬彼女の顔が赤くなった気がしたけど、彼女からは
淳子:「…あきら。あきらが一番大事で、自分の事は当分無理かな…」
笑顔でそう言った、マグカップを持つ彼女の手を取って、握りしめた。
彼女がまた俯いてしまったけど、耳が赤くなってるのが見えた。
太:「淳子さん、俺、貴女が好きです…」
彼女はびっくりしたようで一瞬顔をあげたけど、目があってまた俯いてしまった。
あきらくんの前では母親だけど、二人になるとこの人はこんなに可愛い。
たぶん、本人も気付いてない。
俺だけが知ってる…俺だけの淳子さん…
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びっくりした!
太輔くんが好きだと言ってくれた…
握ってくれてる手に力が入ってる…
冗談ではなさそう…
じっとこっちを見てくれてる視線に、身体中が熱くなる。
まともに顔なんて見られない。
でも、あきらが居て、10歳も上の私じゃ、釣り合わない。
大人気のアイドルに子持ちの歳上女性なんて…
意を決して顔を上げると、太輔くんの顔が目の前にあって…キスされた…
私の隣に座り直して、向かい合わせになる。
太:「驚かせてごめんね?」
太:「こっち向いて…オレを見て…」
太輔くんが優しい口調でそう言ったので、ゆっくり顔を向ける。
太:「あきらくんとか、歳上とか抜きにして答えて?」
太:「淳子さん、好きな人居ないの?」
居ます。あなたです。言いそうになって答えられなくて…
変わりに涙が流れた。