第18章 確認
結局、あきらくんのトイレは無事に済んだらしく、ママに報告したかっただけみたいで、ご機嫌に出てきて、カレーをがっつり食べ始めた。
あきらくんはよく食べた。
よく見ると、あきらくんや淳子さんのカレーの具は小さく切ってあって、あきらくんが一口で食べられるようになっているのに、俺のは具が大きい。
もしかして、俺用…?
太:「ね、オレの分の具材でかくない?」
ちょっと期待しながら聞いてみた。
淳子:「うん。太輔くんのは別に作ったよ。うちらのは甘いから…辛い方が良いかと思て…辛すぎた?まだ辛くする?」
心配そうに俺を見る淳子さんは、少しほっぺが赤くて可愛かった。
太:「わざわざ俺用にしてくれたの?ありがとう♪全然美味しいです♪ちょうど良い辛さ♪」
淳子:「良かった。おかわりあるから、食べれたら食べてな?無理せんでも良いで?」
笑いながらそう言って、彼女もカレーを食べた。
俺は、確信し始めていた。
彼女は、俺を嫌って、避けたんじゃない…
きっと、同じ気持ちだ…
太:「寝ちゃったよ?布団まで運ぼっか?」
彼女が頷いて、寝室の引戸を開けた。
高さの低いダブルベットのまん中にあきらくんを下ろすと、彼女が布団をかけて頭を撫でた。
引戸を半分ほど閉めて、二人でダイニングのテーブルに座る。
淳子:「コーヒーでも入れよっか?」
太:「こないだの甘いのが良い。あれ、ほんとに喉に良いね」
彼女が飲み物を作ってくれてる間、部屋を見渡すと、テレビの横の壁に犬の写真付きの年間カレンダーが張ってあって、色々書き込まれてる。
あきらくんと彼女と旦那さんの誕生日。
旦那さんの命日。あきらくんの幼稚園の行事予定。もうすぐ二人の誕生日か…お泊まり保育ってなんだろ…?
さっき、キッチンで思わず触れた髪と手の感触が残ってる右手が、彼女から渡されたマグカップと一緒に彼女の手に触れた。
目の前に座って、俯いたままマグカップをじっと見てる頬の紅い彼女は、今日は部屋着なのか、ロング丈のワンピースを着て、ベストを羽織って、また足元にはレッグウォーマー。
太:「ずっと連絡しなくて、ごめんね?」
淳子:「ううん。とんでもない」
彼女はやっと顔をあげてくれた。