第18章 確認
待ちきれなくなって、あきらがドアを開けた瞬間、何かがドアに当たって、跳ね返ったドアがカチリと閉まった。
外から、ドアが開いて、太輔くんが顔を覗かせた。
太:「こんばんわ。どっか行くの?」
あ:「太ちゃん!」
淳子:「あ、違う違う!待ちきれやんくなったみたいで、エレベーターホールまで向かえに行こうとしてはったんよ」
太輔くんは玄関へ入ると、あきらの頭を撫でてニッコリ笑った。
太:「そっか。ありがとう♪あきらくん。お待たせ♪」
あきらは笑顔で太輔くんを見上げると、急いでリビングに用意してたおもちゃ箱をひっくり返してる。
淳子:「どうぞ。上着もらおっか」
太輔くんから上着を預かってハンガーにかけようとしたら、太輔くんの香水の匂いがした。
香水は苦手だけど、この匂いは嫌いじゃない…
太:「ありがとう」
ニッコリ笑ってあきらの元へ向かった。
太:「なんか良い匂いがするね?カレーだ!」
あきらの横に座って、こっちを見ながら嬉しそうに言った。
淳子:「うん。一緒に食べる?あきらが一緒に食べたいって待ってたんよ…良ければ…」
太:「いただきます。実は腹減ってたんだ♪」
淳子:「じゃぁ、用意するわ♪あきら、手、洗って来てよ」
あ:「太ちゃん、行こう!」
太輔くんの手を引っ張って洗面所へ入って行った。
キッチンでカレーの用意をしていたら、太輔くんが入って来た。
急に二人になったので、案の定、私の心臓はまた激しく動き出した。
淳子:「あ、あきらは?」
私のすぐ傍まで来て、キッチンに手をついて顔を上げられない私を見ながら、
太:「トイレ。一人で大丈夫って」
トイレを指差しながらそう言って、私の髪を撫でてくれた。
太:「久しぶりだね」
優しく髪を撫でながら、そう言った太輔くんを見上げると、ニコッと笑ってくれたその笑顔にみとれてしまった。
あ:「ママ~!!」
急に呼ばれてびっくりして、持ってた包丁を落としそうになった。
太:「あっぶね!大丈夫!?」
咄嗟に、太輔くんが手を掴んでくれたので無傷だったけど、掴まれた手をどうして良いか分からなくて、動けずに居たら、
あ:「ママ~!」
また呼ばれて、慌ててトイレへ走った。