第16章 縮まる距離
病院で別れてから、2ヶ月。
今年のツアーが始まって、俺はますます忙しくなってた。
毎日疲れて帰って、シャワー浴びて寝る。起きてまた、仕事…そんな生活が続いてて、彼女の異変に気付かなかった。
最初に気が付いたのは、たまにlineで敬語になる時がある事。
次に気が付いたのは、返事が今までより遅くなった事。
そして…やっと最近気が付いた。
…電話に出てくれない…
後から何か理由があって出られなかったと言う…それも、lineで…
何かある…どうしたのか聞いても、何もないの一点張り。
こんな生活があと、2ヶ月も続くのに…
困った…気になって、眠れない…
会いたいのに…
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太輔くんが忙しくなってた。
でもちょくちょく連絡くれるので、嬉しかった。
けど、これ以上彼の傍に居ると、どんどん好きになりそうで怖かった。
だから、連絡を控えた。
こんな子持ちのおばさんにマジで惚れられたなんて知れたら、気持ち悪くてもう2度と会ってもらえなくなる。
あきらの為にもそれだけは避けなければ…
あきらが太輔くんを好きなのはなんの問題もないのだから…
今まで通りにしてるつもりなのに、太輔くんから「なんかあったか」とlineが来たのには驚いた。
すぐに気が付いてくれるのも、優しいなぁと思ってしまう。
最近、写真の拓矢に太輔くんの話をする事が増えた。
笑顔で聞いてくれるから、ありがたい。
太輔くんに、会いたいなぁ…
イヤイヤ。いかんいかん。痛いおばさんになどなるな!
何気無く、小さな音で掛けた音楽が、あきらの抜き忘れたキスマイのCDだったようで、太輔くんの歌声が流れて来た。
優しく、甘い歌声のバラードは、太輔くんのぬくもりを思い出させるには充分な物で、涙が頬を濡らした。