第15章 好き
真っ白で何もない空間に一人で立ってる。
向こうの方に椅子に座って誰かが手を振ってる。
近づいてみると、知らない男性が笑いながら手招きしてて、立ち上がって頭を下げてくれた。
あの、泣き虫をよろしくお願いしますね♪
それだけ言うと、知らない間にできた白い扉を開けて俺を押した。
目を開けると、見たことない天上がある。
起き上がろうとすると、身体の至る所が痛い。
手を掴まれてる事に気が付いて、視線を落とすと、淳子さんが布団にうつ伏せて眠っている。
隣のベットにはあきらくんが寝ている。
良かった。あきらくんは無事だったんだ。
そう思って、もう一度淳子さんを見たら、こっちを見て泣いている。
俺は笑って、
太:「どうしたの?あきらくん、無事で良かった」
そう言い終わったと思ったら、淳子さんが抱き付いて来た。
泣いてて声にならない声で良かった、良かったと何度も繰り返してる。
太:「ありがとう。大丈夫だよ」
俺はそっと彼女を抱き締めた。
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太輔くんが気が付いた。
あきらが無事だと笑ってくれた。
何も考えられなくて、笑いかけてくれるのがただただ嬉しくて、抱き付いてしまった。
太輔くんは生きてる…
あの時とは違う…もう大丈夫…
淳子:「あきらを守ってくれてありがとうございました。ケガさせてしまってごめんなさい」
深く頭を下げて謝った。
淳子:「明日の朝、マネージャーさんが今後の話をしに来るって。それまで付いてて良い?」
太:「居てくれると嬉しいな♪」
淳子:「良かった♪ほんまにごめんなさい。謝っても全然足りやんよな…もうほんまにごめんなさい」
淳子:「どっか痛いとこない?先生はどこもなんともないて言うてたけど…」
太:「大丈夫だよ。ほんとに大丈夫」
淳子:「ほんまに?ほんまに大丈夫?もうほんまにごめんなさい」
太:「あはは。ほんまほんまって。大丈夫だから!あ、じゃぁ…1つお願い聴いてもらえる?それで、もうこの話はチャラにしよ?」
淳子:「うちに出来る事ならするけど…」
太:「もう!大丈夫なんだってば!」
太輔くんは両手をあげてガッツポーズをして腕をぐるぐる回した。