第15章 好き
嫌な予感がして、悲鳴がした方へ走って行くと、あきらを庇って、ドラマのセットの下敷きになってる太輔くんが見えた。
私は二人に走りよると、泣きながら名前を呼び続けた。
救急車が来て、二人を運んで行く。
私も行かなきゃと思うのに、脚が動かない。
誰かに突然、抱き上げられた。
木:「しっかりしろ!大丈夫!二人を信じろ!」
木:「すいません!この人、家族です」
木村さんが、そう言って、救急車に私を乗せると私の肩を撫でてくれた。
医師:「とくに異常はないですよ。気を失ってるだけですから」
あきらを見てくれた先生が笑って言った。
安心して、涙がでた。
ベットで寝てるあきらの顔にキスをして、太輔くんの部屋へ向かった。
コンコン。
扉をあけてくれたのは、横尾くんだった。奥にマネージャーさんと北山くんが居た。
ベットに寝てる太輔くんは頭に包帯が撒かれてる。
淳子:「あの…すいませんでした。あきらを庇ってくれたみたいで…ほんまに、すいません…」
頭を深く下げると涙が床に落ちた。
マネ:「あきらくんが無事で良かった。太輔も気を失ってるだけです。包帯は、ちょっと頭に切り傷があったからで、大したことないですから」
淳子:「イヤ、でも…」
北:「オレ等、ローラーするから、日頃から、転けたりするのは訓練されてるんで、大丈夫っすよ」
淳子:「でも…」
涙が、後から後から溢れてきた。
淳子:「あの、付いてて良いですか?あきらをこっちに運ばせてもらえませんか?」
マネ:「じゃぁ、ちょっとお願いします」
マネージャーさんは電話、北山くんと横尾くんはそれぞれの仕事に戻った。
あきらを太輔くんの隣のベットに寝かせて、太輔くんの傍の椅子に座った。
あきらを見ると、可愛い寝息が聞こえた。
太輔くんは全然動かない。息はしてるから、胸は上下してる。
肩まで被った布団に手を入れて、太輔くんの手を探した。
ひんやりとした、おおきな手を見つけて、両手で握りしめた。
眠ったまま、もう起きないんじゃないかと不安で涙が止まらない。早く目を開けてほしい…
恐い…また、大切な人を失うかもれない。
大切な人…
太輔くんは大切な人…
気付いてはイケナイ気持ちに気が付いた。
私は、太輔くんが好きなんだ…