第15章 好き
夏が来て、長いようで短かったドラマの撮影が、あきらの出演分は今日で終わり。
ふだんは花なんだけどね♪と言いながら、スタッフさんがお菓子の袋をお疲れ様!と言ってあきらに手渡してくれた。
あきらは大喜びで走り回ってる。
先々で、いろんな人に、頭を撫でてもらったり、抱っこしてもらったり…
優しい、素敵なスタッフさん達に囲まれたドラマ初出演で良かったと、心の底から思った。
太:「嬉しそうで良かったね♪」
振り返ると、太輔くんが居て、小さな花束をくれた。
淳子:「ん?何?」
太:「淳子さんもお疲れ様♪色々大変だったでしょ?」
そう言って、私の頭を撫でてくれた。
淳子:「ありがとう♪キレイなお花♪」
黄色とオレンジのガーベラとピンクのカーネーションにカスミソウがアレンジされた小さな花束。
淳子:「花束なんて、久しぶりにもらった~。ありがとう♪嬉しいなぁ♪」
顔を上げると、こっちを見てた太輔くんがニッコリ笑ってくれた。
顔が赤くなったのがわかったので、思わず背を向けてしまった。
あんな素敵な笑顔見せられて、ドキドキしない女子はいない…
しかも、私にだけ笑いかけてくれたなら…
鎮まらない心臓に文句を言いながら、振り返ると、太輔くんが居ない…
次の瞬間、女性スタッフさんの悲鳴が聞こえた。