第14章 必要な時間
撮影も半ばまで来たある日、木村さんに飲みに誘っていただいた。ドラマやスタッフさんの話をしていたのに、急に
木:「毎日、幸せそうだよな。お前」
そう切り出して、木村さんは手にしてたグラスを静かに置いた。
太:「ハイ。幸せです」
俺もグラスを置いて、背筋を伸ばして木村さんを真っ直ぐ見た。
太:「あの時、木村さんに言われた事、オレなりに考えてみました。けど、やっぱりオレは彼女が大事で、あきらくんが大好きです」
太:「彼女と旦那さんの思い出も、あきらくんも、全部ひっくるめて、彼女を愛しています」
自分でも驚くほど、はっきりと真っ直ぐにまようことなく言えた。
木村さんは、フッと笑って、
木:「太輔、よく言った!オレ、こないだ言った事、謝ろうと思ってたんだよな」
太:「謝るだなんて!オレの考えが甘かったんで、動揺したんです。言ってもらえたから、今、胸を張れるんだと思います。ありがとうございました」
頭を下げると、笑顔で手をヒラヒラさせながら
木:「イヤ、あれは気をつけないと、こっち
が落ちるな。お前の気持ち分かるわ」
そう言って、またグラスを手にした。
太:「え?なんすか?なんかありました?落ちるって!まさか!」
木:「あはは。なんもねぇよ。良い子だな♪」
木:「面白いし、素直だな。性格美人てやつ ?」
太:「ハイ!」
木:「うわ!嬉しそ!しっかり守ってやれよ!頑張れ!」
太:「ハイ!ありがとうございます!」
二人で笑いながら乾杯した。
この日は、その後、木村さんがもう一軒連れてってくれた。
深夜に帰宅してから、スマホが光ってるのに気がついた。
< 淳子→太輔 >
今日は久しぶりにドラマ以外の仕事で、太輔くんに会えなかったので、拗ねたあきらです♪明日は会えるよ♪って言うたらこの笑顔♪困ったもんですな(笑)
道端でしゃがみこんでるあきらくんと、その場に笑顔で万歳してるあきらくんの写真が添付されてた。
淳子さんが、、旦那さんを忘れるわけない。
時間はある…
ゆっくりで良いから、好きになってもらおう…
あきらくんが抱き付いてくれるみたいに、彼女も俺に抱き付いてくれるように…
あぁ!でも、毎日会いたいし、やっぱり…
抱きたい…