第14章 必要な時間
あきらが、実物を見せようと鞄におもちゃをとりに行った。
木:「トーマスって古いよね?今も人気なんだ?オレらの時にはなかったよね?」
淳子:「なかったですよね!名前、覚えるん大変でした」
淳子:「女の子はシルバニアファミリーですよね?」
木:「そう!大好きだったよ~なんか、色々揃えさせられたわぁ。とくに、上の子がひどかったかな。今でも部屋に飾ってるもんね」
木:「てかさ、今さらっと同じ世代みたいに言っちゃったけど、同じ世代?淳子ちゃんていくつ?」
淳子:「四捨五入したら同じですよ。36なんで♪」
木:「そこ、女子は四捨五入したらダメじゃん!?」
淳子:「えぇ~!?だって誤魔化しても変わらんにのにぃ?」
木:「30代って女盛りじゃね?」
淳子:「世の中の、大半の女子はそうかもしれないですけど、うちは毎日が精一杯ですからね~」
淳子:「40代男子はやっぱり落ち着いてますね♪」
木:「うちの中居みたいに変わらないヤツも居るけどね」
笑いながらそんな話をしていたら、急に木村さんが真剣な顔で私を見た。
木:「太輔と、仲良いの?」
淳子:「太輔くん?…えっと…あきらを…可愛がってもらって…ます…」
木:「それだけ?」
淳子:「それだけとは?!こんな未亡人のおばさんがアイドル好きになりますか?なったらダメでしょ~!」
淳子:「大丈夫ですよ?太輔くんの未来は潰しません。それに、うちには会えやんけど、旦那さんが居ますから…まだ、会えやんだけでどっかに居るって思てたいんです…」
言いながら、ちゃんと笑えてるか心配だった。やっぱりまだ、拓矢の話を誰かにするのは辛い…
あ:「ママ~!」
溢れそうな涙を抑えていたら、あきらが走ってこっちに来た。
今度は私の膝に座って、歌を歌ってる。
しばらくあきらのミニコンサートが続いていたら、私達の方に男の人が歩いて来て、木村さんに腕時計を指差した。
木:「ごめん、そろそろ時間だって」
淳子:「お忙しいのにすいませんでした」
木:「気にしないで♪こっちこそ、さっき、変なこと言ってごめんね。あきらくん、またね。次は撮影で会おうね」
あきらの頭をくしゃくしゃと撫でて、木村さんは出て行った。