第14章 必要な時間
淳子:「えぇっ!?」
びっくりして思わず大きな声で言ってしまった。
皆様、私に驚いてこっちをみてる。
淳子:「すいませんでした」
小さく頭を下げると、木村さんが
木:「淳子ちゃん、どした?」
と、顔を覗き込んできた。
淳子:「イヤ、あきらにセリフがあると聞こえたので…びっくりしまして…」
脚本家さんが笑いながら「名前を呼ぶぐらいですよ」と言ってくれた。
無事に顔合わせも終わって、あきらは久しぶりに会った太輔くんに大興奮で、手を引っ張って、何処かに行こうとしている。
淳子:「こら!あきら!太ちゃんはまだお仕事やって。また、遊んでもらおな?」
あ:「イヤ!太ちゃんと遊ぶ!」
淳子:「あきら!太輔くんはまだお仕事やの!」
あ:「イヤ!」
淳子:「あきら!!」
口をへの字にしてあきらが泣き出した。
私は小さくため息をついて、泣き出した息子を抱き締めた。
淳子:「ごめんよ。また、遊んでもらおな?帰りに公園でママと遊ぼ?遊んでくれる?」
あきらは小さく頷いてくれた。
淳子:「ごめん、太輔くん。次の仕事行って?」
そう言って、太輔くんの方に顔を上げると、その場に居た皆様が、またもやこっちを見ていた。人前で怒りすぎたかな…?イヤ、でもダメなことはダメ!ちゃんと理解してもらわないと!と、自分にガッツポーズしてると、
木村さんが歩いて来て、
木:「よし!おじちゃんと遊ぼ?オレ、どうせ次まで1時間ほど、暇なんだ♪」
木:「仲良くしようぜ!」
そう言いながら、あきらを抱き上げてくれた。
太:「木村さん…」
木:「大丈夫!任せろ!心配すんな♪」
木:「いいよね?」
木村さんが自分のマネージャーに確認した。
マネージャーさんは片手でOKをして、苦笑いした。
淳子:「わぁ、ほんまにすいません。もぅ、ほんまにごめんなさい。太輔くんもごめんよ?」
二人を交互に見ながら頭を下げた。
太:「ううん。オレこそごめん。行くね?」
頷く私の頭をポンポンして、太輔くんは木村さんにも頭を下げて、部屋を出て行った。
ドラマ関係者がだいぶ減った部屋の中で、あきらは木村さんの膝に座って、持って来てたトーマスの本を見せている。
私も近くに座った。