第13章 気持ち
なんとなく眠れなくて、ベランダに出た。相変わらず月が綺麗に輝いてる。
何気なく目線を下に下ろした私はびっくりした。
太輔くん!?
太輔くんらしい人影が見えた気がして、慌てて下へ降りた。
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気持ちの整理がつかないまま、淳子さんに会いたい気持ちだけで教えてもらった住所まで来てしまった…
こんな夜中に何してるんだろうと、自分でも呆れる。どの辺りかなぁと見上げてたら、ベランダに女性が出てきた。淳子さんに似てる…?
けど、すぐに入ってしまった。
こんな時間に確認するすべもなくて、帰ろうとした時、上着の裾が引っ張られて動けなかった。
振り返ると、
淳子:「太輔くん?」
パジャマの上に軽くカーディガンしか羽織ってない淳子さんが、寒そうに肩をすくめながら立っていた。
淳子:「やっぱり太輔くんや!こんな夜中にどしたん?」
太:「淳子さん!こんな時間にそんな格好で何してんの!?危ないじゃない!そんな薄着じゃ風邪引く!」
慌てて俺は自分の上着を彼女の肩に掛けた。
淳子:「大丈夫!太輔くんこそ風邪引いたら大変!でも、嬉しい♪ありがと♪ちょっと上がる?熱いお茶でも飲もっか♪」
嬉しそうに俺の上着をしっかり持って、マンションに入った。
久しぶりに見た笑顔だった。
淳子:「どうぞ…甘いの大丈夫かな…?」
太:「いただきます…」
淳子:「飲めるかな?喉が痛い時とか、調子が良くない時に飲んだらよく効くねん」
淳子:「喉、大事やろ?」
太:「ありがとう。美味しいね♪」
淳子さんはニッコリ笑って、頬ずえ付きながら、俺を見てる。
淳子:「どうかしたん?こんな時間に…」
太:「ごめん。なんとなく…会いたかった…」
淳子:「ん~でも、さすがにこの時間には起きてられへんなぁ。ごめんよ~あきらも頑張ってんけどなぁ…」
太:「え!?」
淳子:「ん?あきらに会いたかったんやろ?」
太:「え!あ、あぁ、そう。あきらくん」
笑って誤魔化してみたけど…気付いてないんだろうか…
淳子さんは天然なのか、気付かないフリをしてるのか…
俺を優しく見てくれる。