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永遠に

第13章 気持ち


仕事が思いの外早く終わったので、淳子さん達を迎えに事務所へ来た。

駐車場に車を停めて、ロビーへ入ると、淳子さんが誰かと楽しそうに話してる。

関東弁が苦手だから、あんまり人と話したくないって言ってたけど…

俺はびっくりした。淳子さんと話してるのは、木村拓哉先輩。
思わず、なぜか隠れてしまった。

ただ話してるだけなのに、なんだか違う世界に見えて、淳子さんの笑顔が俺に向いてる時とは違う気がしてショックだった。
しばらく動けなかった…

ピロリン♪
< 淳子→太輔 >
今晩は♪今、帰り着きました。何時ごろ来れそうかなぁ?夜ご飯は?

淳子さん達と食事なんて、いつもの俺なら喜んで一緒にっていうんだけど、今日はなんだかそんな気分にならなかった。

淳子さん達との境界線がうっすら俺にも見えた気がした。

コンコン。

誰かが、助手席の窓を叩いて、こっちを覗き込んでる。

太:「き、木村さん!?」

慌てて、車から降りて、木村さんに挨拶した。

太:「今晩は。お疲れ様です」

木:「よ~、太輔。何してんの?」

太:「え?イヤ、とくになにも…」

木:「ふ~ん。じゃぁ、ちょっと飲みに行こうぜ」

タクシーに乗り込んでも、何を話して良いのか分からなくて、必死で考えてたら、車が止まった。

いつのまにか、辺りは静かな場所で木村さんが先を歩いている。

木:「ここ」

指さしたのは一軒家を思わせる小さな小料理屋だった。

店に入ると、全てが完全個室になっていて、一番奥の部屋に案内された。

木:「で?なんで、隠れた?」

木村さんが適当に注文してくれたので、部屋の中をキョロキョロしてたら、急に言われて動けなくなった。

太:「えっ?イヤ、あの…えっと…」

木村さんは黙って真っ直ぐ俺を見ている。

俺は正直に話す事にした。

太:「木村さんが、淳子さんと話してたので…」

木村さんは、続く言葉を待ってくれてる気がした。

太:「僕は入って行けないような感じがしました。淳子さんとっても楽しそうだったので…」

木:「お前、淳子ちゃんの事好きなの?」

太:「えっ?あ、ハイ。木村さんもですか?」

木:「は?お前バカ?俺には家族が居るだろが!」

木:「子どもの話してただけだぞ」


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