第12章 新しい生活
途中で、万が一太輔くんが先に家に着いてはいけないと思って、事務所に寄って帰る事を連絡しておいた。
事務所での書類の不備はすぐに訂正できたけど、社長があきらに会いたいと言ってくれてたらしいので、社長室へ向かった。
コンコン。
淳子:「失礼します。葉山です」
扉を開けると、社長の前に誰かが立っている。
ふわふわの髪が、ちょっと茶色くて、浅黒い肌に黄色と緑色のネルシャツの裾を腕捲りして、履き崩れたジーパンの後ろポケットに片手を入れて、社長と話してる。
淳子:「すいません!失礼しました」
頭を下げて、部屋を出ようとしたら、
社:「淳子ちゃん!かまわないよ!」
淳子ちゃん!?びっくりして振り返ると、なんとそこには、木村拓哉が居た。
木:「ほら、そんな呼び方して!びっくりしてんじゃないですか!」
淳子:「…」
淳子:「…」
木:「大丈夫?」
私の目の前で手をヒラヒラさせながら、木村拓哉が笑ってる…
淳子:「えっ!あ!だ、大丈夫ですっ!」
思わず、あきらと繋いでた手を離して、鞄も落としてしまった。
淳子:「わ!すいません!」
急いでしゃがんで鞄を取ろうとしたら、あきらが社長に飛び付いたところだった。
淳子:「こら!あきら!また!」
鞄をそのままにして、あきらを引き離そうと社長に近づいたら、あきらがぴょんと離れて笑った。
淳子:「こらぁ!?面白いがってるな!?」
そう言いながら追いかけると、あきらがキャッキャ言って喜んだ。
コンコン。
ノックの音とあきらを捕まえるのが同じだった。
社長にお客さんという事で、私達は退室した。
淳子:「あ!鞄!」
持ってるはずの鞄を持たずにあきらを抱いてる事に気が付いた。
木:「あはは。淳子ちゃん面白いね。ほら、鞄」
一緒に退室した木村拓哉が鞄を差し出してくれた。
淳子:「あ、ありがとうございます。木村拓哉さんですよね?」
木:「そう。木村拓哉だよ?」
笑いが止まらないようで、ずっと笑ってる。
生木村拓哉は半端ない男前で、お腹を抱えて笑う姿も、見とれてしまうほどだった。