第12章 新しい生活
横:「最近、太輔ご機嫌だよね?」
渉が紙コップのコーヒーを両手に持って、ロケバスに乗り込んできた。
太:「そか?」
横:「うん。時々ニヤニヤしてたりするよ?やっぱり気付いてなかった?」
紙コップを俺に差し出しながら反対側の座席に座った。
横:「この寒い中、外でのロケは辛いなぁ」
肩をすくめながらコーヒーをすすってる。
太:「渉、オレ好きな人が出来たんだ」
横:「…うん、きっとそうなんだろうなぁと思ってた。淳子さん?」
太:「ん…」
横:「色々大変だと思うよ?」
太:「ん…分かってる…」
旦那さんの事を聞いたあの日から、俺が彼女を支えたい。守りたいと想う気持ちが日に日に増してる。
また泣いてるんじゃないかと、無理して笑ってるんじゃないかと、心配して、あの日抱き締めた彼女を思い出す…
太:「まだ、完全に片想いだしな…」
太:「片想いなんて久しぶりすぎて、どうして良いのかわかんねぇよ…」
彼女は、俺との間に線を引いている。年下のアイドルだから…
年齢はどうにもできない…
どうしたら、俺との線を消してくれるだろう…
横:「それはもぅ、頑張るしかないよね?」
太:「頑張るって何を?」
横:「好きって事を。好きだから、相手の為に出来る事、自分を見てもらえるように出来る事を頑張る?」
太:「渉!すげぇな!噛まずに良い事言ったわ!」
横:「あはは。たまにはね?」
渉に話して良かった。
彼女が引いた線を、早く取ってもらえるように頑張れば良い!
頭の中にあった霧が晴れたような気がした。
あぁ、会いたい…すっげぇ会いたい!
どうしてるかなぁ…
あきらくんの事、どうするか聞いて良いかな…
電話するか?lineにしとくか?
横:「ほら、今、ニヤニヤしてたよ♪」
渉に笑われながら、彼女に電話した。