第11章 距離
太:「オレも一緒に行きたかったな…」
拗ねたようにソファに凭れながら言うと、
淳子:「さすがに無理ですね~。今をトキメク、キスマイの藤ヶ谷太輔くんが子連れでディズニーランドなんて、アイドル生命の危機を迎えますねぇ~」
おどけたように言う彼女は、俺との間に線を引いたような気がした。
俺が選んだこの世界は、こんなにも自由が制限されてるんだと、今になって気が付いた。
淳子:「ほら、もう12時やで。うちも明日はあきらとはしゃがなあかんからもう寝るよ。太輔くんも帰ってゆっくり寝て?」
そう言って、俺の腕を引き上げて立たせた。
ドアの近くに掛けてた上着を取って、俺に袖を通してくれる。
ポンポンと背中を叩いて、ドアの方へ歩かせる。
淳子:「今日はありがとう。遅くまでごめんね。気をつけて帰ってよ?」
そう言ってドアの前に立った。
太:「オレのほうこそ、こんな時間までごめん。明日、気をつけて行ってね。楽しんで来て♪」
笑って手をあげると、彼女も頷いて手を振った。
淳子:「おやすみなさい」
太:「おやすみ」
車に戻ってエンジンを駆けると、12時を少し回ってた。
シンデレラの夢の時間は終わったんだ…
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太輔くんを送り出して、あきらの隣に横になった。
彼に見つめられて、抱き締めてもらって、人妻の私は何をしてるんだ?ドキドキなんかしたりして…
拓矢が居なくなって、寂しくて不安だからって、あんなに年下の男の子に頼ってちゃ駄目だ。彼には輝かしい未来があるのに、邪魔しちゃいけない。
側に居ないけど話もできないけど私達には拓矢が居るんだ。
あきらと二人で、これから頑張らないと。
明後日帰って、もう一度考えよう。
あきらが寝返りをして、くっついてきた。
私の大事な宝物。ママと頑張ろうね。
あきらのおでこにキスをした。
ピロリン♪
< 太輔→淳子 >
寝てたらごめん。無事に帰り着きました。ほんと、遅くまでごめん。おやすみ。
< 淳子→太輔 >
無事で良かった。今日は色々ありがとう。
お休みなさい。
無事に着いて良かった。太輔くん、明日も仕事頑張って。
ゆっくり瞼が降りてきて、深い眠りについた。