第10章 涙の理由(わけ)
社:「イヤイヤ。迷惑なんてとんでもない。こちらこそ大変な時にしつこく連絡して、申し訳なかった。大丈夫ですか?少し落ち着かれましたか?さぁ、お座りください」
社:「あきらくんは、ココアとオレンジジュースどっちが良いかな?」
優しい声でゆっくりと話してくれる社長さんに内心ドキドキしてた私は、少し落ち着けた。
あ :「ココア!ママ?」
私に確認しようとこっちを振り返った。
淳子:「いいよ。すいません、ココアをお願いします。私はお茶でけっこうです」
社長さんが、扉の前に立ってた男性に手をあげた。
男性は頭を軽く下げて出て行った。
ふかふかの大きな皮のソファにあきらは興味津々で、お尻を跳ねさせようとしてるのを必死で押さえた。
社:「かまいませんよ。男の子なんだからじっとしてられないよな」
社長さんは笑ってくれた。
社:「それで、本題に入りたい。聞いたと思いますがあきらくん、この世界に入れるのはイヤですか?うちが貴女達を全力で支えます」
社:「関西の方ですよね?暮らす家もこちらで用意します。あきらくんの幼稚園も探します。
あきらくんが、自分の意志でこの世界の事を考えるようになって、辞める事になってもかまわない」
社長:「あきらくんは、ダイアモンドの原石のようだ。耀かせてあげたい」
社長:「これはちゃんとしたビジネスですからね?甘えるわけにはなんて言うのは無しですよ」
社:「ゆっくり考えて下さい。明日はディズニーランドにでも行っておいで。気分転換にもなる。チケットはこちらで用意するから。」
社:「向こうに帰って考えると、また気が滅入ってしまうよ…」
押し付けるわけでもなく、ひたすらに優しく、ゆっくりとそう言った社長さんは、運ばれてきたコーヒーをゆっくり飲んだ。