第7章 それぞれ
淳子さん達とデートしてから3週間経った。
いつもと変わらない日常に戻った。
目の前で、弟組がジェンガをしてる。
キスブサの収録。
雑誌を眺めていた手を何気なくスマホへのばした。緑色の点滅。
それは、待ちに待ったlineのメッセージ。
次の日にお礼のlineがあったきりだったから。
夢のような時間をありがとう。って。
< 淳子→太輔 >
おひさしぶりです。
連絡遅くなってごめんなさい。今、あきらと遊びに出たので、送りますね♪
写真は室内遊具があるところで満面の笑顔で大きな風船を持ってるあきらくんの写真。
可愛い!
ピロリン♪
< 淳子→太輔 >
動画もどう?(笑)
動画では、風船が風でポンポン跳ね回ってる部屋であきらくんが嬉しそうに笑いながら走り回ってる。
可愛いなぁ。会いたいな…
二人に会いたい…声が聞きたい…
声が低いから電話嫌いって言ってたっけ。
俺には素敵な声なのに。
視線を感じて顔を上げると、みんながこっちを見てる。
あきらくんの笑い声が聞こえたらしい。
北:「今、子どもの笑い声聞こえなかった?オレの耳だけ?」
宮:「ううん。聞こえた!よね?」
玉:「聞こえた…」
横:「太輔?」
玉:「あの子?連絡先聞いてたの!?淳子さん元気!?」
玉森がこっちに来て俺のスマホを覗き込んできた。
太:「ん?あぁ、聞いた。あきらくんの写真送ってほしいって頼んだんだ。お前らも見る?スッげー可愛いよ」
玉:「わ!ほんと!可愛い!」
宮:「どれ?わぁ!可愛いね~」
横:「いつの間にそんな事になってたの?えらく気に入ったんだね~」
二:「動物園楽しかったんだ♪」
千:「公園も楽しかったよね?」
宮:「けど、連絡先は聞かなかったなぁ…」
北:「藤ヶ谷、信用して大丈夫な人なんだよな?」
太:「あ?大丈夫だよ。心配すんなよ」
楽しすぎた。幸せだった。俺も夢のようだった。
だから結局、淳子さんが夢の中で泣いてた事なんて頭から飛んで消えてたから、理由なんて聞けるハズもなかった。
あれから、あの夢はみてない…