第5章 笑顔
スタッフから好きに歩いて良いと言われたので、歩いてる。
彼女は子どもと手を繋ぎながらパンフレットを見て何がみたいか子どもに聞いてる。
彼女の大量の荷物はスタッフが預かる事になって、鞄を1つかけてるだけ。
淳子:「あの、藤ヶ谷さん。何みたいですか?」
太:「あ、なんでも良いですよ。あの、えっと、名前、聞いても良いですか?」
淳子:「え?あ!ほんまや!すいません!私、葉山淳子と申します。息子のあきらです」
また、頭を下げてくれた。
太:「あきらくんと、淳子さんですね。オレは太輔って呼んで下さい!」
淳子:「イヤイヤ、それは無理ですよ!絶対無理!」
太:「そんなに全力で拒否されると寂しいです…」
イヤ、ほんとにちょっと凹む。
淳子:「あ、ごめんなさい。えっと、ほな太輔くんはだめですか?」
太:「う~ん…仕方ないですねぇ。じゃぁ、太輔くんでも良いから敬語やめませんか?せっかくなんで♪」
淳子:「ん、わかった。じゃぁ敬語やめるわな?太輔くん」
そう言ってニコッと笑って手を差し出した。
淳子:「よろしくね」
淳子:「は!あかんな!アイドルに簡単に触ったらあかんわ!ごめんよ」
顔を赤くして、慌て手を引っ込めてしまった。
淳子:「じゃぁ、ここからは象が近いから象見に行っても良い?あきら象好きなんで」
あきらくんを引っ張って歩きだした。
俺は笑いながらついて行った。
どこか愛らしい彼女のいろんな顔が見てみたいと想いながら。