第35章 3人で…
翌朝のテレビやスポーツ新聞等がほぼキスマイ藤ヶ谷の結婚を報じていた。
事務所からのコメントは特になく、"本人に任せております"なので、驚きが倍増しているようだ。
太輔本人はなにも気にならないようで、あきらから今日のコンサートでのダンスの指摘を受けている。
淳子:「あきら!幼稚園行く時間!時計見て!」
太:「今日、オレ朝空いてるから幼稚園送ってこっか?」
淳子:「イヤ。太輔はゆっくりしてて♪うち、行くから…」
太:「なんで?オレ行きたい!」
あ:「!太ちゃん送ってくれるの!?」
淳子:「イヤ、でも送り迎えは登録制やから…違う人が行ったら通報されるねん…」
太:「…」
淳子:「もう卒園やから、登録追加せんでも…」
太:「じゃぁ、車で行こ♪門まで行かないなら良いよね!」
淳子:「…わかりました」
あ:「イエ~イ!!」
あきらが太輔とハイタッチして喜んでる。
太:「そのまま、これ出しに行こ♪」
ダイニングテーブルを拭いていた私に緑のわくの紙切れを差し出した彼が、にっこり笑ってそう言った。
淳子:「婚姻届…」
太:「サインしてくれるよね?」
私が書くところ以外はもちろん埋まってて、証人の欄が木村拓哉と大倉忠義になっている。
淳子:「太輔…ここ…」
太:「勝手にごめん。ちゃんと話さないとイケナイと思って…木村さんには迷惑かけたし…」
太:「あの歌、大倉くんが教えてくれたんだ…」
淳子:「そう…」
太:「淳子…?」
淳子:「ちゃんと気持ち伝えなあかんよって、大倉くんが言うてくれたん…」
淳子:「優しい人…」
あ:「ママ?時間は?」
あきらに言われて驚いて時計を見た。
淳子:「わ!大変!」
太:「(笑)あきらくんと先に車、行ってるわ♪」
私の頭を撫でながらそう言って、あきらと手を繋いで出て行った彼が、旦那さんになるんだと思うと急に胸の鼓動が早くなった。