第32章 抱き締めたい
俺は何も考える事が出来ずに、車に飛び乗っていた。
もらってる合鍵で彼女の家へ入る。
真っ暗なリビングで小さくうずくまって泣いてる彼女がいた。
ソッと後ろから抱き締めると、
淳子:「?…太輔…? 」
太:「…オレの事呼んだでしょ?」
太:「違うな…ずっと呼んでくれてたのに…遅くなってごめん…」
彼女が抱き締めてる腕にしがみついてきた。
淳子:「ううん…しつこくてごめんなさい…重荷になりたくないと思てるのに…」
太:「重荷なんかじゃないよ…淳子が好きすぎて周りが見えなくなってた…ごめん…」
太:「もう離さない。離れない…ずっとそばにいる…」
ゆっくりと俺の方を向いてくれた彼女は幸せそうな顔をしている。
頬に触れた俺の手が震えていて、彼女が優しく支えてくれる。
見つめる彼女の瞳には俺が映ってて、俺しか映ってなくて…
優しく微笑む彼女に久しぶりのキスをした。
淳子:「心臓の音…」
太:「ん?」
抱き締める手を緩めようとすると、彼女がしがみついてきて、
淳子:「太輔の心臓の音…安心する…」
太:「…毎日聞かせてあげる…」
淳子:「ありがとう…」
しばらくして、彼女が
淳子:「泣いたら喉乾いた(笑)なんか飲む?」
笑いながら俺を見た。
太:「ん…」
俺の腕からするりと抜け、キッチンへ行く彼女。
マグカップを持って戻ると俺にぴったりくっついてソファに座る。
太:「あ…クリスマス…今年は仕事なんだ…」
淳子:「人気者の証拠やね♪」
太:「帰って来るから…」
淳子:「うん♪」
太:「正月休みは一緒に居よう♪」
淳子:「うん♪」
二人で居られる事がこんなに幸せなんだと、彼女の肩を抱いた手が暖かかった。