第31章 季節外れの嵐
木村さんに拉致られて、ここにいろと指示されたカーテンの中で彼女が、木村さんに話してるのを黙って聞いてた。
もっと早くに聞いていればあんなに泣かせずに済んだかもしれない…
大倉くんが前に泣かせたらもらうと言った言葉が甦った。
また、オレが泣かせた…
あの時も…今回も…俺は彼女の事になると、どうしてこんなに自信がなくなるんだろう…
9歳の歳の差を気にしてるのは、俺なのか…?
俺はまだ"愛する事の意味"を分かってないのか…?
解放と言った彼女。俺が彼女を解放してあげた方が彼女は幸せになれるのか…?
木:「ゆっくり、二人で話せ…」
木村さんが俺の肩を叩いて部屋を出て行った。
泣いてる彼女の隣に座る勇気がなくて、向かい側に座った。
淳子:「…隣に座ってくれやんの?」
太:「…ごめん…」
淳子:「…太輔の気持ちは?」
太:「淳子が好きだ。でも、傍に居て良いのか分からない…」
淳子:「好きやから傍に居るんじゃあかん?」
太:「…オレがいるとまた泣かせる…」
淳子:「…じゃぁ…もぅ無理なん?」
彼女の声が震えてる…
太:「…」
淳子:「…そっか…今まで色々ありがとう♪あきらの事も…可愛がってくれてありがとう♪あきらとはまた会う事があったら遊んだってな♪あの子、太輔くんが大好きやから…」
全身全霊で泣いてる彼女は、俺の夢の中の彼女だった…
泣いてた理由は旦那さんじゃなくて、俺だったんだ…
抱き締めて、涙を拭ってやりたいのに身体が動かない…
静かに彼女が、部屋を出て行った。