第31章 季節外れの嵐
太輔が電話に出てくれない日が続いて、変わりに浅原さんがあきらにも私にも話しかける時間が増えた。
ロケが一段落して、スタジオでの撮影は順調に進んでる。
あきらは嵐くんと呼んで、たくさん遊んでもらえて楽しいようだ。
太輔の事は口にしない…
会えなくて寂しく思っているのだろうか…
他のキスマイメンバーの連絡先を聞いておけば良かったと後悔していた…玉森くんや渉くんがうちに来た時に聞いておけば良かった…
キスマイのマネージャーさんには太輔と私の事を知っているのかが分からないので聞けずにいた。
電話しても、lineしても無反応な太輔…
このまま誤解されたまま終わってしまうのかと思うと辛くて泣けてきた…
前:「葉山さん!」
前田さんが小さな声で呼んだかと思ったら手招いている。
淳子:「なんですか?」
スタジオの出入り口に誰かが居るようで、前田さんと話してる。
淳子:「…!」
淳子:「木村さん!?」
木:「しぃー!」
人差し指を口に当ててニッコリ笑った木村拓哉さんにいつもながらドキッとする。
木:「こないだ太輔に会ったらなんか変だったから…」
木:「これ、オレの連絡先だから時間できたら連絡しておいで♪オレが出なくても、嫁さんに言えば良いから♪」
そう言って、頭を撫でてくれて去って行った。
前:「太輔ってキスマイの?」
前田さんが隣に居たのを思い出して、
淳子:「あ、うん。あきらを可愛がってくれてて…」
淳子:「あ、あきらとこないだケンカしたみたいで…」
前:「アイツ、ほんとに子供好きだなぁ♪」
笑ってる前田さんが鈍感な人で良かったと心底思った。