第30章 欲しいもの
太:「ただいま!」
母さんとすぐ下の弟が走って来た。
母:「こんにちは♪いらっしゃい♪どうぞ…」
リビングに父さんと、一番下の弟が居た。
淳子:「初めてまして。葉山淳子と申します。息子のあきらです」
彼女が深々と頭を下げたら、あきらくんも
あ:「葉山あきらです!5歳です!」
そう言って、頭を下げた。
父:「まぁ、そう緊張しないで…あきらくんは5歳かぁ!お利口さんだねぇ♪」
母さんがお茶を持って、ソファに座るよう合図する。
太:「弟の友輔と亮輔」
淳子:「こんにちは…」
母:「緊張するなって言う方が無理かもしれないけど、まぁ座って♪」
母:「もしかして、この子、黙って連れて来たんじゃない?」
淳子:「…」
母:「やっぱり…そりゃ緊張するわね~」
淳子:「あ、イエ、すいません…」
母:「その紙袋なぁに?」
あ:「クッキーだよ!昨日ママと作ったの!太ちゃんの誕生日プレゼント♪僕、太ちゃん描いたんだよ?」
彼女の横に座って、大人しくしていたあきらくんと目があったから、さっきもらった絵を見せた。
父:「上手だね~あきらくん!」
あきらくんが得意そうな顔で笑って、彼女を見た。
彼女は笑顔であきらくんの頭を撫でてあげる。
友:「やっと笑った♪良かった♪」
友輔が母さんの横のソファの肘置きに腰掛けてそう言うと、父さんの方に亮輔が座って、
亮:「なんか兄貴がすいませんね♪」
そう言って笑った。
少し緊張が和らいだのか、彼女も笑顔になって、
淳子:「あの、良かったらどうぞ…何も持って来なくてすいません…」
また、頭を下げた。
母:「とんでもない!いただきますね♪」
亮:「あきらくんも食べよ♪」
皆で仲良く食べ始めた。