第30章 欲しいもの
彼女が夢に出てきてから、もうずいぶん経つ…
色々あって、付き合えるようになって、半年。
俺の誕生日を初めて祝ってもらえる。俺の欲しいものは彼女とあきらくん。
今日はその準備に使うと決めた。
俺の家族に会ってもらう…
家族には話してある。けど、彼女にはまだ…びっくりするだろうなぁ…急で怒るかなぁ…
太:「そろそろ着くよ♪オレん家♪」
淳子:「太輔ん家?」
太:「そ。実家♪」
淳子:「…」
淳子:「…えっ!?えぇ!?実家ぁぁぁっ!?」
淳子:「えっ!なんで?ちょっと待って?もっとちゃんとした格好で、ちゃんとしたもん持って、ちゃんと挨拶せなあかんやん!」
太:「(笑)それで充分だよ。大丈夫♪堅苦しいのはうちらがイヤだから♪」
淳子:「イヤ…でも…」
太:「着いた!さぁ、どうぞ…」
俯いて、車からなかなか降りてこない彼女の顔を覗きこむと、不安そうな顔で俺を見た。
太:「…急にごめん…そんな顔しないで…大丈夫だから…ね?」
差し出した手に、彼女の手がゆっくりと重なって、少し笑顔になった。
3人で手を繋いで、玄関に入る。