第29章 付き合うという事
コンコン。
ドアを開けた彼女は俺の好きなパジャマ姿。
淳子:「おかえり♪」
太:「ただいま♪遅くなって、ごめん」
抱き締めてキスをして、気が付いた。
太:「あ、オレ煙草臭い?風呂入れる?」
笑いながら、
淳子:「大丈夫やけど、お風呂は入れるよ♪」
いつも通り俺の上着をかけてくれる。
太:「じゃ、さっぱりしてくる。先に寝てて良いよ♪」
今度は彼女のおでこにキスをする。
淳子:「…待ってて良い?」
控えめに聞いてきた彼女は、たぶん涙の理由を気にしてる。
太:「ん。じゃ、ちょっと待ってて♪」
急いで風呂から出て、リビングへ行くとテーブルの上にCDが置いてある。
床に座る彼女の横に座ろうとしたら、ソファをポンポンと叩いた。
太:「何?どした?」
彼女の頭を撫でながらソファに座ると、
淳子:「今日、泣いたからびっくりしたやろ…?」
やっぱり聞いてきた。
太:「びっくりしたけど、気にしてないよ?」
淳子:「え?だって…」
太:「隠れて一人で泣かれたら気になるけど、今日のは不意打ちだよね…」
淳子:「ありがとう♪太輔くんは優しいなぁ…」
淳子:「色々…処分した方が良いんかと思って…」
太:「淳子。オレは淳子が好きだよ。あきらくんも大好きだよ。
でも、たぶんオレはあきらくんのパパにはなれない。ずっと太ちゃんだと思う。オレはそれでも良いと思ってる」
太:「あきらくんのパパは旦那さんだよ。旦那さんとの思い出があってこその淳子だから。無理する事ない♪思い出したなら泣いて良いよ。ちゃんと…抱き締めてあげるから…」
太:「おいで…」
彼女は目に涙をためながら差し出した俺の手をとった。
引き寄せて抱き締めると、小さく「ありがとう」と言った。
忘れなくても良い…今、傍に居るのは俺だから…
涙を拭いてあげるのも、笑顔にしてあげるのも、今は俺がする…