第28章 誕生日
翔くんはほんとにあきらの目の前で歌って踊ってくれた。他のみんなも前を通るたびに必ず手を振ったり、ピースしたりしてくれた。
あきらはものすごく喜んだ。
終盤。二宮くんがピアノと一緒に出て来た。
嵐のコンサートは新しいアルバムの曲はもちろんだけど、古い曲も歌ってくれるから楽しいと、幸が話してたのを思い出した。
二宮くんが歌い始めたその曲は、私と旦那の拓矢が好きだった曲。カラオケに行けば取り合いになり、車では聴きたい私と歌いたい拓矢とでけんかになり、聴きながら手を繋いで眠った曲。
静かに…涙が流れた…
太輔くんが気が付いて、
太:「…大丈夫?」
耳元でそう言って、手を繋いでくれた…
玉:「じゃぁ、またね♪あきらくん♪」
あ:「うん!ありがとう♪玉ちゃん♪」
あ:「翔ちゃんもありがとう♪また明日ね!」
桜:「おぉ!また明日な!」
あ:「ありがとうございました!」
無事に終わったコンサートの楽屋であきらは、いつの間にか皆さんに挨拶できるようになっていて、嵐の他のメンバーにもちゃんと頭を下げた。
淳子:「ほんまに、ありがとうございました!」
私も頭を下げる。嵐の皆は笑ってくれた。
玉森くんはこのまま嵐の皆と飲みに行く。太輔くんも、私たちを送って車を置いてから合流する。
車に乗り込みながら、
淳子:「タクシーで帰るから大丈夫やで?太輔くんもこのまま行けば良いのに…」
太:「車置きに戻らないとどうせ飲めないからついでだよ♪」
そう言って、車を出した太輔くん。
涙の理由は聞かずにずっと手を繋いでくれてた…
気付くとマンションの駐車場で、エレベーターホールまで送ってくれた太輔くんが、
太:「…ここに帰るから…一人で泣かないでね…」
私のおでこにキスをして、車へ戻って行った。
あきらの誕生日、拓矢もお祝いしたかったよね…