第27章 こんな毎日
あ:「ママ、太ちゃんまだ起きないね~」
淳子:「朝には起きると思うから、今日はママとここで寝よな?」
太:「…」
俺の大好きな人達の声がした…
でも、瞼は重くて開けられない…夢心地ってこんな感じかなぁ…
俺の意識はまた闇に消えた。
♪♪~♪~♪♪♪~♪♪
何?なんか音がする…歌ってる…?
自分のベットじゃない…でもなんとなく見覚えのある部屋…
渉が肩を貸してくれてたのを思い出す…
ゆっくり起き上がると窓の傍の写真たてに気が付いた。
やっとはっきりしてきた頭が、ここが何処なのかを教える。自然と笑顔になる。
声のする方へ行くと、あきらくんが気が付いて、
あ:「太ちゃん!おはよう♪」
笑顔でそう言って抱き付いてきた。
太:「おはよう♪ママは?」
頭を撫でながら聞くと窓の外を指差した。
かじかむ指先を擦り合わせたり、息を吐いて暖めたりしながら、手際よく洗濯物を干してる彼女はまた何か口ずさんでるのか、楽しそうだ。
近づいて、ガラスをトントンと叩く。
淳子:「おはよう♪太輔くん!起きて大丈夫?」
笑顔で部屋に入って来て、俺の額に冷たい手を当ててくる。
太:「おはよう♪ありがと♪大丈夫みたい」
淳子:「念の為に、熱計って?これ、羽織って」
差し出された体温計と、俺のカーディガン。
そう言えば、パジャマにしてるスエットを着ている…
太:「あれ?なんで?」
淳子:「渉くんが届けてくれて、着替えさせてくれたんよ?」
太:「渉?」
淳子:「昨日、あきらを抱いたまま体調崩して、渉くんにここまで運んでもろたんやで?一回太輔くん家行って、わかる範囲で着替え持って来てくれて、着替えさせて帰ってん」
太:「あ…そう言えば…」
淳子:「思い出した?起きて大丈夫そうなら、ちょっとでも良いから、朝ごはん食べて♪」
言いながらキッチンへ向かう彼女を見ながら、一緒に暮らすとこんな感じなんだなぁと実感する…
元旦に実家へ帰った時、家族に彼女の話しをしたことを思い出した。
両親も弟たちも理解してくれて、「あんな可愛い子が家族になるのは大歓迎!」と言ってくれた。
彼女に話そうか…そんな事を思いながら、キッチンの彼女を見ていた。