第25章 恋敵?
エレベーターホールへ行くと、ちょうど翔くんが降りてきたところで、
桜:「よ~!藤ヶ谷!どした?そんな顔してぇ…」
と、声をかけてくれた。
桜:「彼女とケンカでもしたぁ?」
桜:「わ!マジか!ごめん…てか、彼女居たんだ…話、聞こっか…?」
オレの肩に手を置いて、目の前のソファに座った。
桜:「そりゃ、お前…」
話をした俺の横でうなだれる翔くん。
桜:「彼女可愛そうよな?」
桜:「オレなら、謝るなぁ…悪い事言わないから、電話してみ?オレ、居てやるから…」
ここにその彼女が居るとは思いもしない翔くんは、俺を見て小さく笑ってくれた。
太:「そぅですよね?ちょっと待っててもらって良いですか?」
桜:「あぁ、うん。良いよ?一人で謝れる?」
ニヤリと笑いながら、ポケットからスマホを取り出した。
俺は急いで来た道を戻る。
彼女がさっきと同じ場所に立ってる。
でも、向かい側には大倉くんが…
咄嗟に、壁に隠れてしまった。
案の定、大倉くんは彼女に想いを伝えている…
でも、彼女はすぐに断った。
お気に入りの大倉くんに告白されてるのに、迷いもしなかった…
俺を信じてくれてる…
どう、彼女の前に行けば良いのか分からず、とりあえず一歩踏み出そうとした時、
大:「次、泣かしたらもらうからね?藤ヶ谷くん!」
彼女と大倉くんが、こっちを見た。
2歳しか変わらないのに、大倉くんは堂々としていて、振られたとは思えない余裕があった。
大倉くんは、何も言わずに彼女から離れた。
変わりに俺が近づくと、彼女も歩いて来た。
淳子:「あの…」
目の前まで来ると、彼女が俺の服の袖を掴んだ。
淳子:「今のは…えっと…」
頑張って説明しようとする彼女を抱き締めた。
彼女も抱き締めてくれる…
太:「ごめん…」
太:「泣かせないって言ったのにな…」
淳子:「うん…でも戻って来てくれた…ありがとう」
太:「オレこそ、信じてくれてありがとう」
彼女を強く抱き締めた。彼女は俺の背中を撫でてくれた…
彼女が何かを思い出して、急に離れて俺を見る。
淳子:「太輔くん…あの、言いにくいんやけど…えっと…うち、大倉くんに…」
太:「あ、ごめん…話、聞いてた…」
淳子:「え?」
太:「告白…されてたね…」