第7章 さんかく
…………何だって?
好き?日高くんが私を?
衝撃発言に固まる私の顔をじっと見詰めてくる日高くん。
返事を催促されているような視線に、妙な気まずさを感じてなんとか口を開く。
「…………ああ、うん。そうね。私も結構日高くんのことは好きよ」
友達として。
言外にそんな線引きをしてその意味を濁そうとする。
しかし、曖昧に流して逃がしてくれるほど彼は甘くはなかった。
「友達として、なんてやめて下さいよ?俺は沙々羅さんの彼氏になりたい」
「う……」
はっきりと明言されてしまい、すっかり逃げ道を失う。
どうしよう。
日高くんのことは嫌いなわけではないし、寧ろ好きだけど。そういう対象からは外れていたからこそ気兼ねなく仲良くできたのに。
デートをする前はともかく、恋愛対象ではないと判断してからも、日高くんにそういう目で見ていることには薄々気付いていた。
けれど、彼と友達でいたかった私は、敢えて見てみぬふりをしていたのだ。
悟い日高くんだって、私が友達でいたいと望んでいることに気付いていないはずはないのに。
「……すみません。困らせてますよね。沙々羅さんが俺のことそういう風に考えてないのは、わかってるんです。でも、悪いけど俺は友達止まりなんてまっぴらですから」
「日高くん……」